時代への視点  
第170号
 稲城市長石川 良一

飲酒運転は犯罪 被害者の叫びに耳を! ('06,12,01)

 いよいよ年の瀬も迫ってきました。となると、増えるのが忘年会を始めとする飲酒の機会です。今年9月に飲酒運転や理不尽な暴力などによって亡くなった犯罪被害者の声を聞く、「生命(いのち)のメッセージ展in稲城2006」が城山体験学習館で開催されました。展示された120の帰らない命と向き合った時、決してこのような悲劇を繰り返してはならないと、会場を訪れた人たちは誰しも決意を新たにしたことと思います。
 我が国の戦後の憲法を始めとする法体系の基本は、「権力の暴走に歯止めをかける」ことに重きが置かれていました。よって、国家の法によって裁かれる側の人権に多くの配慮がなされ、犯罪や事故などの被害者の人権や痛みは軽んじられる傾向にありました。平成7年に起きたオウム真理教団による地下鉄サリン事件、北朝鮮による日本人拉致事件も、被害者側の人権をもっと強く思えばその対応の仕方によっては、事件の被害を小さく留め得た可能性は十分ありました。
 作家の山本七平氏は「日本人とユダヤ人」の中で、ユダヤ人は安全のためホテルに住むことさえ厭(いと)わない歴史をもっていると冒頭述べています。一方、日本で安全は、水や空気と同じで、そこにあるものでコストを負担して確保するという意識に極めて乏しいと指摘しています。日本では、災いを自然災害のように天から降ってくるもので、人間の力では避けられないという諦観(ていかん)が強いと言えるかも知れません。
 しかし、ようやく平成16年12月に「犯罪被害者等基本法」が制定され、平成17年12月に犯罪被害者等基本計画が策定されました。支援の内容は、現在内閣府で検討されており、それと共に自治体も具体的な施策化を進めていくことになります。犯罪に遭ってしまった人を運の良し悪しで見るのではなく、社会の責任として助け合っていかねばならないという心を育てていくことが求められています。
 酒飲みはよく「今日は飲まされちゃって」などと言いますが、他者が無理に口に酒を注ぐことはまずありません。飲酒運転は、「犯罪」なのです。
 

時代への視点 No,170('06,12,01) 


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