時代への視点  
第160号
 稲城市長石川 良一

耐震強度偽装マンション問題について ('06,02,01)

 大みそかの読売新聞の朝刊一面に「耐震偽装マンション公費支援を拒否・稲城市法的根拠ない」との見出しの記事が掲載されました。テレビインタビューの放映やラジオ放送、続いて元日には全国紙の記事を、多くの皆さんがご覧になったかと思います。インターネットでは全国から50件近くのメールをいただきました。
 市内にある分譲マンション「グランドステージ稲城」(24戸)で、姉歯秀次・元一級建築士による構造設計の偽装が行われ、耐震強度基準の33%しかない建物であることが明らかになってから、マンション住民に対して市は固定資産税や都市計画税の減免をいち早く決定しました。また、マンション住民が引っ越しする際に出る荷物を一時的に預かることや、粗大ゴミ等の処理費用の減免も速やかに実施し、都の退去命令に対し、一日でも早く転居できるように努めてまいりました。そして、これらを行うため、それぞれの条例の規定に照らし合わせて進めてきました。  
 今回の事件のポイントは、マンションの設計を偽装し、建築確認を出したイーホームズという民間の検査機関が偽装を見抜けなかったことと、結果的な建築確認上の責任を負うこととされている「特定行政庁」は東京都であることです(今回、問題が生じたマンションなどでは解体・再建などが必要ですが、このマンションなどが所在する市区で建築確認などの事務を行う特定行政庁になっていないのは稲城市だけです)。
 物事には原因と結果があるわけですが、原因にも結果にも稲城市は一切関与していなく、法的にも道義的にも責任はありません。もちろん市民の安全や生活を守る責務は当然ですので、現状でできる支援策を実施してきております。
 しかし、行政施策として公費を投入するには、法律や条例上の根拠が必要になります。それが、人治ではなく法の下の平等を基本とする法治国家の原則といえます。稲城市としては、国が今回の問題に適用できるスキーム(手立て)を特別措置法としてつくるのであれば、速やかに対応することを国や都に伝えました。
 建築基準法の建築確認や検査制度には欠陥があると思われます。罰則規定の不備も挙げられており、法的に見直すべき点があります。この際、禍根を残すことにならないよう慎重さも求められています。
 

時代への視点 No,160('06,02,01) 


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