時代への視点  
第143号
 稲城市長石川 良一

 北欧の年金・福祉施策を視察する ('04,09,01)

 関東都県市町村職員共済組合理事長会の視察が7月にあり、山梨県都留市の小林市長を団長に、東京からは首長側を代表して私と、職員組合側代表と事務局職員の3人が参加しました。
 現在東京都市町村職員共済組合は、組合員3万2千人を数え、医療保険・年金事業を行っており、年金資金だけでも4千200億円を超える運用をしておりますが、本格的な高齢化を迎える今後、共済組合も多くの課題を抱えています。
 視察は、6泊8日で、デンマーク・スウェーデン・フィンランドの3カ国を回るというハードなものでした。3カ国とも自転車専用道が整備され、ガードレールがなく、看板も規制され、街の景観の維持に力を入れています。
 3カ国の福祉施策に共通して言えることは、所得税を50%近く負担し商品やサービスを購入した時にかかる付加価値税(消費税)に若干の違いはありますが、最高で25%と、日本などに比べると極めて高く、高負担・高福祉の国であるということです。
 スウェーデンでは、国民総背番号制が早くから導入され、所得捕捉(ほそく)もしっかり行われており、年金の負担は所得の18.5%と決められていますが、そのうちの2.5%分は、個人で資産運用する制度が99年の制度改正後行われています。言わばこの2.5%分は個人のリスクで株や国債、投資信託など自由に投資でき、その結果によって年金が増減する仕組みとなっています。
 また年金の支給も物価指数に連動するのではなく、国民の所得が減れば支給額も減る方式となっています。
 なお、年金基金の運用では運用委員会が設置されており、厳しい情報公開と失敗すれば責任を取る制度となっているようです。
 スウェーデン王国は、ナチスやソ連の支配を受けることなく独立を維持してきたという誇れる歴史があります。「所得税と消費税等を合わせると上限75%を国に払うということは、国や自治体に対する信頼がなければできない」と、ストックホルム市の年金担当者は強調していました。
 稲城市で進める行政施策も、行政と市民の信頼の歴史を日々積み重ねるという使命を負っていることを、改めて認識する必要を痛感しました。
 

時代への視点 No,143('04,09,01) 


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